石井十次とは~

石井十次とは

児童福祉という言葉がまだない時代に、岡山孤児院を設立し、多くの身寄りのない孤児たちのために生涯を捧げた人です。「児童福祉の父」とも呼ばれ、また家庭的な風潮を大切にし「石井のおとうさん」という愛称で親しまれました。

時代は明治時代

当時は国の制度は恤救規則(13歳以下の孤児、70歳以上の無告の窮民を救済)しかなく、今のような制度や施設、サービスはない時代でした。

また新しい貧困層ということで、捨て子・身売りなどがあり、貧しく苦しい状況の子どもたちがいたとのことです。

そんな状況の彼らを生涯3000人をも受け入れ、児童福祉というものを切り開いてきた石井十次の功績は歴史を越えて今もなお語り継がれております。

いったい彼はどんな人だったのか、紹介したいと思います。

追記:石井十次についての記事をリニューアル中です。

石井十次を知る

まずこちらの映像をご覧ください。5分ほどの短い動画です。

当時の映像をみると、ひしひしと伝わってくるものがあります。

このように石井十次は身寄りのない孤児たちのために生涯を捧げてきました。

少しまとめてみましょう。

①きっかけとなる出来事

石井十次は、医者を志していましたが、一人の孤児を預かることをきっかけに岡山孤児院を設立します。医学を学ぶ書物を全て焼き付けたというほど、固い決心であったことが伺われます。今でいう児童養護施設の前身である岡山孤児院を設立。孤児院はイギリスのバーナードホームを参考にしたとのことです。そして、ここから多くのドラマを生み出すのです。

②大切にしたこと

石井十次が大切にしたことは、まず「家族や兄弟の温もり」です。きっと孤児たちの寂しさを敏感に感じ、家族や兄弟といった家庭的な環境を大切にしたと思われます。また「満腹主義」ということで、孤児たちには腹いっぱいご飯を食べさせてあげること大切にしました。このように家庭的な雰囲気を大切にした石井は先生ではなく「おとうさん」と呼ばれるのです。

③個々の才能を伸ばす

6歳から15歳の子どもは施設に併設された学校で勉強を学びます。石井は、運動が得意な子には運動を、勉強が得意な子には勉強をといったように、「個々の得意なことを伸ばす」ことを大切にされました。中には海外へ留学するような子もいたとのことです。一人ひとりの個性を大切にするということは、現代的ではなく、もっと昔から大切にされてきたことがよく伝わります。

④自立に向けて

石井は孤児たちに将来困らないために、手に職をつけさせることも大切にしました。男には印刷や大工仕事、女には織物など、孤児たちのその後の人生をきちんと視野にいれて、今でいう「自立」に向けてサポートしていたのです。そこで得た収入も、孤児院の収益として大切に活用されました。

⑤偽善者と呼ばれる

まだ児童福祉という言葉がない時代、石井は偽善者や詐欺師などと言われます。それでも石井は、誹謗中傷を受けることは、世間の人たちに知ってもらえていることだと逆に感謝の姿勢を示したとのことです。このように世の中にないものをつくるということは、最初は世間から認めてもらえないものであるということを我々に教えてくれています。

⑥東北の飢饉

偽善者などと言われた石井が、世間から脚光を浴びる出来事が起こります。それは東北に起こった飢饉によって、多くの孤児が出て、石井はすぐさまかけつけ、孤児を全て受け入れたのです。それによって、偽善者と呼ばれていた石井は、苦労の末世間から認められるのです。また石井に賛同する方も多く現れ、中でも倉敷紡績の「大原孫三郎」は「君と僕は炭素と酸素、合えば何時でも焔となる」と表現するほど、双方にとってもかけがえのない存在として共に歩むのです。そのため岡山の大原美術館には、石井十次のコーナーがあるようです。

⑦48歳の生涯

石井は晩年宮崎に拠点を移し、途中48歳の若さでその生涯を終えます。生涯で3000人もの孤児を受け入れたその功績や想いは、今もなお歴史を越えて多くの人に影響を与えております。石井十次にまつわる資料館や墓、銅像、建物、また跡を継いだ児童養護施設などは、今もなお石井十次の功績を讃えております。

https://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/kenmin/kokusai/senkaku/pioneer/ishii/index.html

このように石井は児童福祉の父として、多くの孤児を救済することに生涯を捧げたのです。

石井十次から学ぶ、本当にいい政策とは

石井十次は、現代を生きる我々に多くのヒントを残していると思われます。

・本当にいい政策とは

本当にいい政策とは、はじめは世間から認められないところから始まります。それは石井が偽善者などと言われたように、「世の中にないものをつくる」ということは、最初は世間に認められないものなのかもしれません。それでも続けていく中で、だんだんと世間から認められ、「本当にいいもの」として磨かれ築かれていくのかもしれません。

・世の中にないものをつくる

政策は法律になってお金というものが発生します。児童福祉という言葉がない時代で、石井は寄付金など資金を集めるところから始まります。もしかしたら、世の中にないものをつくるということは、まずお金を集めるところから始まるのかもしれません。それで言えば、予算や補助金から入るものでは本当に困っている人に手を差し伸べることはできず、寄付金や、慈善活動、クラウドファンディングやSIBというものが今後重要になっていくと思われます。

ブースやラウントリーも自分の会社で出た利益を貧困調査に充てることで貧困の問題を明らかにしてきた歴史があります。ブースは造船会社で、ラウントリーはチョコレート会社(キットカットの)、また石井十次と大原孫三郎のように、当時の時代からヒントを得ることはたくさんあると個人的に思っております。

このように歴史を学ぶということは現代に生きる我々にヒントを与え、それを未来につなげるといった、まさに過去→現在→未来へと橋渡しとなっているように感じます。

現代の制度

石井の孤児院は、その後1929年の救護法にて国の政策へと移り変わります。またその後孤児院は児童養護施設と名前を変え、現在もなおその想いを受け継いでいるのです。ここでいくつか制度・サービスの紹介をしたいと思います。

・児童福祉施設等

①乳児院 → 乳児(幼児)を入院させ養育

札幌乳児院 北翔会 http://www.hokushokai.com/nyuji.html

さゆり園 函館市 http://www.paulo-sayurien.jp/

②児童養護施設 → 保護者のいない児童、虐待を受けている児童などを入所させ養護

興正学園 http://www.kousyou.or.jp/taiyo/

札幌 柏葉荘 http://fusoen.jp/hakuyou/

全国児童養護施設一覧 http://www.zenyokyo.gr.jp/list/list.htm

石井記念友愛社 http://www.yuuaisya.jp/page1

③児童心理治療施設 → 社会生活への適応が困難な児童を対象に、治療及び生活指導

伊達市 バウムハウス http://tarap.org/baumhaus/

④児童自立支援施設 → 不良行為(その恐れ)のある児童の自立を支援

北海道立 大沼学園 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/ong/

北海道立 向陽学園 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kyg/

⑤母子生活支援施設 → 配偶者のいない女子、監護すべき児童を保護、自立の促進

小樽 相愛会 http://www.otarusouaikai.jp/

旭川隣保会 トキワの森 http://rinpokai.hjk.ne.jp/tokiwa.html

札幌市 母子寡婦福祉連合会 http://satsuboren.or.jp/

⑥自立援助ホーム → 義務教育終了後、児童養護施設や児童自立支援施設を退所した人への就職や日常生活のサポート

児童援助ホーム一覧 http://zenjienkyou.jp/%E8%87%AA%E7%AB%8B%E6%8F%B4%E5%8A%A9%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E4%B8%80%E8%A6%A7/

その他 札幌市 児童福祉関連施設 http://www.city.sapporo.jp/kodomo/kosodate/q1_06.html

・里親・ファミリーホーム

①里親 → 4人以下の要保護児童を養育することを希望する者(都道府県知事が認定)、里親には養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親がある。

②ファミリーホーム → 定員5~6名、養育に関し相当の経験を有する者の住居において養育を行う

・里親制度関連

◇児童相談所 → 里親支援に関心のある方の相談を受ける

北海道児童相談所 http://www.ishikari.pref.hokkaido.lg.jp/hk/cuo/index.htm

◇団体

一般社団法人 北海道里親会連合会 http://douriren.com/

北海道中央地区里親会 http://hcfoster3.com/information.html

児童福祉には例としてこのような児童福祉施設やサービス、制度などがあります。

その他 児童福祉を支える団体

◇あしなが育英会

病気や災害、自死(自殺)などで親を亡くした子どもたちや、
親が重度後遺障害で働けない家庭の子どもたちを物心両面で支える民間非営利団体

https://www.ashinaga.org/

◇児童養護施設 クラウドファンディング

夢をユメで終わらせない、児童養護施設退所者はその後の生活のために進学等や自分の夢をあきらめなければならない実態があります。進学率で言えば、一般75%に対して20%と低水準となっているそうです。クラウドファンディングを活用して、様々なプロジェクトを行っております。

https://yumeowa.jp/

◇ライツオン・チルドレン

特定非営利活動法人ライツオン・チルドレンは、社会からの支援を必要とする子ども達を支えるために、企業・個人の皆さまと共に活動している非営利団体です。社会的な支援を必要とする子どもたちに「教える・学ぶ」「知る・知らせる」「つながる・つなげる」といった活動を行い、成長や自立をサポートしております。

https://lightson-children.com/about/

◇認定NPO法人 ブリッジフォースマイル

準備が整っていない状態で児童養護施設を対処せざるを得ない子どもたちに対して「子どもたち巣立ちを支える」「子どもたちの未来をあきらめない」「子どもたちの未来を一緒に応援」などそれぞれのプロジェクトを通じてサポートをしております。

https://www.b4s.jp/

◇認定NPO法人 Kacotam  札幌市

「学びの機会格差問題」といった社会問題の解決を目指し活動しております。一人親世帯、児童養護施設、生活保護世帯、虐待を受けている子どもなど、様々な環境が要因で自分の望む未来を実現できない子どもたちの未来に向けたサポートをしている団体です。

https://kacotam.com/about_kacotam

例としてこのような団体があります。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

石井十次の「想いや行動」、「プロセス」、また「現代の制度」や、「社会的課題」、解決に向けてサポート行動する「団体の存在」など、少しでも皆さんの見分を広げられることができれば幸いです。

私の私論ではありますが

「1900年前後の慈善の時代に現代に生きるヒントが隠れている」と考えております。

現代は様々な問題が複合的に複雑に絡み合って存在しております。

既存の発想を超えるためには、歴史から学ぶことが必要なのです。

まだ制度がない時代に、福祉を切り開いてきた彼らがどのようにしてそれらを世に生み出してきたのか、私たちの実践は過去に学ぶところから始める必要があるのかもしれません。

人は同胞なれば互いに相信じ、互いに相愛される可き事 ~by 石井十次

追記

この時代の救貧制度について記事を書きました。是非合わせてご覧ください。

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