逆選択について

逆選択とは

逆選択とは(コトバンクより)

取引主体間で商品やサービスについて情報の格差がある場合、結果的に、低品質の商品やあまり望ましくない存在が市場に残り、他のものを排してしまう現象をさす。この現象は進化論における自然選択(自然淘汰)になぞらえることができるが、望ましくないものが最後に残るという点が自然選択(自然淘汰)とは逆であることから、逆選択(逆淘汰)とよばれる。

https://kotobank.jp/word/%E9%80%86%E9%81%B8%E6%8A%9E-178893

このように逆選択は一言で言えば、劣った業者が勝ち残るという市場パラドックスを意味しています。

よくある例として保険会社や中古車市場の例がありますので確認していきましょう。

逆選択の例:保険会社

もともと逆選択は保険業界の用語とのことです。

一般的にみられる民間の医療保険会社を例にすると

①会社として

・病気のリスクの高い加入者には高い保険料を求めたい

・病気のリスクの低い人に多く加入してもらいたい

②加入者として

・なるべく保険料の安いプランに加入するのが有利だから、なるべく自分の疾病確率を低くみせかけたい

・自分に重大な疾病の危険があっても、それを隠したい

といったそれぞれの立場があります。

そこで高いリスクを持つ人を発見できずに加入させてしまうと、全体として医療費が高くなってしまいます。

それをカバーするために保険料を引き上げざるを得なくなり、結果リスクの低い人でも高い保険料を払わなければならなくなり敬遠されてしまいます。

その結果、健康な人だけを加入させて収益を得ようとする保険会社が増えてきます。

それは価格も当然安価になり、医療保障の目的からみると安易な劣った保険会社と言えるでしょう。

特にビックデータの時代では、加入者が詳しい情報を得ることは当然できないですから、いい保険よりもいい広告宣伝という情報で選択せざるを得ない状況になります。

これが逆選択の一つの例となっております。

ちなみにこれはあくまで用語の説明です。

近年の保険会社は「健康増進型医療保険」があるように、保険に加入することで「健康行動が促進される」ことを期待する商品もありますよね。

逆選択の例:中古車市場

次は中古車市場の例をみていきましょう。

①売り手

・車の状態についてよく知っている

②買い手

・車の状態についてはよく知らない

すると当然売り手は、車の状態が悪いという情報を提供することはないので、いわゆる情報の非対称性が生まれます。

仮にこの中古車は60万円で売られていたとしても、買い手側はそれが本当に60万円が市場の一般的な価値なのかどうか判別することはできないということです。

以上が中古車市場における逆選択の例となっております。

まとめ

イギリスの福祉学者「グレンナースター」は福祉サービスでは消費者側と提供者側両方に情報の失敗があると指摘しております。

①福祉サービスでは自分がどのサービスが必要なのかを消費者は判別できない(そもそも知らない)

②提供されているサービスの質が、必要に応じたものでかつ適切に行われているか判別することが難しい(他と比較するといっても限定されている)

③市場でサービスを購入したとしても、その価格が妥当なものであるか知ることができない

④将来の事態を予測することができない(不確実性の問題)

とのことです。

我が国では2000年に成立した「社会福祉基礎構造改革」法で、福祉サービスが措置(役所による決定)から契約(利用者が選択して決定)する方式に変更されました。

そのためには情報支援が決定的に必要です。

そこで、福祉サービス利用援助事業や、運営適正化委員会(利用者の苦情を解決)、福祉サービスの情報提供の規定が社会福祉法に盛り込まれるといった流れがあったようです。

福祉サービスも次第に情報化が進んでいますが、まだまだ進んでいないところも当然あります。

しかも社会福祉サービスは困った人の立場からすると情報の非対称性が当然伴います。

なのでホームページやSNSなども活用して、自分のサービスはどんなことをしているのか、世間に伝えることは一種の努力義務です。

是非とも福祉サービスを展開する人たちにとって、この情報の非対称性について知ってもらえればと思い記事を書きました。

それこそ利用者はパンフレットを並べてみて、この場所に興味がある、この仕事に興味がある、この地域に住みたいなど選択することは当然できないのが現状です。

「それが現実で、実際は無理だという人」

「確かに言われてみればそうであると感じる人」

あなたはどちらでしょうか。当然正解はありません。

ただ感性を磨くことは大切だと思います。

森から出られなくても森から出ようとし続けましょう(進撃の巨人風)

参考文献

社会福祉政策 坂田周一著 有斐閣アルマ

第2章 福祉政策と市場経済 3情報の失敗より

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