提供者:CQF-Avocat

本日は社会福祉立法についてみていきたいと思います。

日本は戦後から60年代中期に及ぶ約20年間に福祉六法体制が確立されます。

その後、日本はこれといった立法はなく、90年代に大幅な法律改正が行われます。

そして2000年の社会福祉基礎構造改革といった抜本的な改革を経て21世紀新福祉体制という形で新たなスタートを切ったのです。これらが福祉改革と呼ばれたものです。

今日はそのうち福祉六法の制定過程についてみていきたいと思います。

それでは確認していきましょう。

福祉六法の制定過程

児童福祉法

1947年に児童福祉法が成立されます。これが戦後最初の社会福祉立法となります。

当時は、戦争のために親が亡くなるなどにより孤児や浮浪児が数多く現れました。

そのため緊急性の高い対策として児童福祉法が先駆けて成立されたのです。

しかし、この法律の特徴としては総合的な法律という点があります。

戦災孤児の保護や養護のみならず、家庭福祉、障害児、保育、児童育成の健全な社会形成など幅広い総合的な法律が戦後まもなくに成立されたのです。

これは「次代の社会の担い手である児童の健全育成と福祉の積極的増進を基本精神とし、全ての児童についてその健全な成長を助長する方針を児童福祉の基本に据えることとした」という点が特徴となっております。

下記は戦災孤児の写真のスライド動画をリンクさせていただきました。我々はこの歴史から目を背けてはいけないのです。

身体障害者福祉法

1949年に身体障害者福祉法が成立しました。

背景には傷痍軍人(戦争で負傷し障害を負って幅員した軍人)の福祉対策が緊急を要してました。

しかし軍人への対策ということで、軍国主義解体と矛盾しないようにする必要がありました。

そこで身体に障害をもつ人々を一般的にとらえることを行いました。

それによって、これらの人々の医療やリハビリテーション訓練、家庭での生活が困難な人の生活場所提供(施設)を内容とした法律が成立されたのです。

18歳未満の障害児は児童福祉法にて、18歳以上の身体障害者に対しては身体障害者福祉法です。

また「障害による職業能力の低下を補ってその自立による更生を援護することを基本的目的とし、職業能力回復を始めとする施策の体系だった」という点が特徴です。

生活保護法(新法)

生活保護法については前記事に少し詳しくまとめました。

1946年に旧生活保護法が成立されましたが、それが廃止され、1950年に新法として生まれ変わったのです。これは改正ではないのです。

以上、戦後まもなく制定された児童福祉法、身体障害者福祉法、生活保護法のことを福祉三法と呼ぶのです。

精神薄弱者福祉法(後の知的障害者福祉法)

1960年代になると新しい福祉立法が行われ、それにより社会福祉の対象が拡大されます。

まず1960年に制定されたのが精神薄弱者福祉法です。

18歳未満の障害のある児童は児童福祉法です。

18歳を超えると児童福祉法の範疇を超えてしまうので、成人のための福祉法として成立されたのです。

また精神薄弱者福祉法は、知的障害者の権利宣言(1976年)の題名にある国際的に標準的な言葉に改められ、1998年に知的障害者福祉法となりました。

この精神薄弱者という言葉が差別と助長されるという見方です。これは押さえておく必要があります。今の世の中を見渡して、言葉自体にレッテルを貼ったものは他にないでしょうか?またそれは制度上にも果たしてないと言い切れるでしょうか?

このように戦後の障害者福祉制度として

18歳未満の障害児については児童福祉法により、総合的な援助施策、身体障害児については治療と育成、精神薄弱児については施設による保護と生活指導が行われていました。

そして1950年に精神衛生法が成立され、知的障害者を含む精神障害者の医療的措置が取られることとなりましが、当時は医療では難しい面があった上、児童福祉法の年齢を超過した者の福祉対策が求められました。

そして児童から成人に至る一貫した援護事業の整備を図ることを目的として、1960年に精神薄弱者福祉法が成立されたという流れです。

また同じ時期に児童扶養手当法(1961年)が成立されたことも合わせて覚えておきたいものです。

・児童手当 → 国内に住所をもつ児童(0歳から中学校卒業まで支給、1971年に法成立)

児童扶養手当 → ひとり親世帯等(1961年に法成立)

・特別児童扶養手当 → 精神または身体に障がいのある児童(1964年に法成立)

※児童手当と児童扶養手当、特別児童扶養手当は併給可能。

老人福祉法

1963年に老人福祉法が成立されます。

大きな点としては養老施設を生活保護制度から切り離し、養護老人ホームとして受け継ぎました。

また合わせて特別養護老人ホームも新たに設けられました。(軽費老人ホーム、有料老人ホーム、老人福祉センターも同じくこのとき設けられました)

これは社会福祉が貧困対策から離れて、ニーズ基準という普遍性を帯びたものに変化したという定説がされております。

もともと高齢者に対する生活の援助は伝統的に家族や親族による扶養が中心でした。

しかし時代が進み、「核家族化や高齢者の増加など、社会環境が変動し、高齢者の福祉対策の強化拡充並びに広範囲にわたる施策を総合的に法律上に体系化を図る目的」で、1963年に老人福祉法が成立されたのです。例として、65歳以上の健康診査もこのときに規定されたのです。

母子福祉法(後の母子及び父子並びに寡婦福祉法)

1964年に母子福祉法が成立されました。

これは後に母子及び寡婦福祉法を経て、現在は母子及び父子並びに寡婦福祉法となっております。

昔は両親がいる家庭に対して、片親家庭は「欠損家庭」と扱われる傾向があり、「ひとり親家庭」と用語が改められたとのことです。

また「ひとり親家庭の発生も、戦争犠牲者遺族から、離婚や病死などさまざまに変化してきたため、母子福祉対策を総合的に推進する」ことを目的とされました。

そしてこれら児童福祉法、身体障害者福祉法、生活保護法、精神薄弱者福祉法、老人福祉法、母子福祉法を合わせて福祉六法と呼ぶのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。以上が福祉六法制定の流れになります。

ちなみに都道府県の福祉事務所でいう福祉三法は児童福祉法、生活保護法、母子及び父子並びに寡婦福祉法と異なるので注意してください。

法律や権利条約などの文は一度押さえておきたいと個人的に感じております。

なお余談ですが、中央法規の福祉小六法はお手元に置いておくことをオススメします。法の概要や制度改正の情報もきちんと記載されていてわかりやすいものとなっております。

法律や制度の制定過程は時代を感じさせるものがあります。今後も少しずつ法律や制度について辿ってみたいと思います。

参考文献

①福祉小六法 2019 中央法規

児童福祉法の概要 P176~178

身体障害者福祉法の概要 P611~612

知的障害者福祉法の概要 P637~638

老人福祉法の概要 P422~423

母子及び父子並びに寡婦福祉法の概要 P371~372

②社会福祉政策 坂田周一著 有斐閣アルマ

第5章 社会福祉の法と福祉サービス 福祉三法の成立、福祉六法の成立

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