提供者:Tobi

ソーシャルワーカーの倫理綱領改定

日本ソーシャルワーカー連盟によるソーシャルワーカーの倫理綱領がこの度改訂承認を受けたということで、日本ソーシャルワーカー協会のHPより情報が記載されておりました。

2005年に仲村優一委員長の名のもとに公表されたのが最初で、職能4団体による倫理綱領委員会がIFSWの定義や諸外国の倫理綱領などをもとに全12回の委員会をもって策定されたとのことです。

2014年に「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」が採択されたことを受け、倫理綱領改定へと動きが始まり、先月のWEB会議をもって全ての作業を終えて、この度倫理綱領の改定がされました。

「ソーシャルワーカーの倫理綱領」の策定及び改定作業の経緯

ソーシャルワーカーの倫理綱領 (新旧対照表)

ソーシャルワーカーの倫理綱領

ソーシャルワーカーの倫理綱領「前文」より

前文

われわれソーシャルワーカーは、

すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。

われわれは平和を擁護し、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重および全人的存在の原理に則り、

人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現をめざす専門職であり、

多様な人々や組織と協働することを言明する。

われわれは、社会システムおよび自然的・地理的環境と人々の生活が相互に関連していることに着目する。

社会変動が環境破壊および人間疎外をもたらしている状況にあって、

この専門職が社会にとって不可欠であることを自覚するとともに、

ソーシャルワーカーの職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。

われわれは、われわれの加盟する国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク教育学校連盟が採択した、次の「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年7月)を、

ソーシャルワーク実践の基盤となるものとして認識し、その実践の拠り所とする。

まずこちらが前文となります。

新旧対応表をみると、前回は「福祉サービス」という形で展開されておりましたが、それが大きく変わっております。また「福祉社会における不可欠な制度」という形も同様に変更されております。

個人的にですが、そのあたりから時代の流れとこれからの在り方についてメッセージが込められているように感じます。

ソーシャルワーカーの倫理綱領「原理」より

原理

I(人間の尊厳)ソーシャルワーカーは、すべての人々を、出自、人種、民族、国籍、性別、性自認、性的指向、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況などの違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。

II(人権)ソーシャルワーカーは、すべての人々を生まれながらにして侵すことのできない権利を有する存在であることを認識し、いかなる理由によってもその権利の抑圧・侵害・略奪を容認しない。

III(社会正義)ソーシャルワーカーは、差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす。

IV(集団的責任)ソーシャルワーカーは、集団の有する力と責任を認識し、人と環境の双方に働きかけて、互恵的な社会の実現に貢献する。

V(多様性の尊重)ソーシャルワーカーは、個人、家族、集団、地域社会に存在する多様性を認識し、それらを尊重する社会の実現をめざす。

VI(全人的存在)ソーシャルワーカーは、すべての人々を生物的、心理的、社会的、文化的、スピリチュアルな側面からなる全人的な存在として認識する

原理も大きく変わっております。

新旧対応表によれば、新たに「人権」という項目が加わり、それまであった「貢献」「誠実」「専門的力量」が削除されております。また社会正義に新たに「無関心」も加わっている点も個人的にポイントだと感じております。

興味のある方は是非一度ご覧になってみてください。

ソーシャルワーカーの倫理綱領

ここから余談になりますが、

最近「南方熊楠」について関心を持つようになりました。「粘菌」について研究された方で、日本のレオナルドダヴィンチとも言われているようです。孫文と交流があり、紀伊の山を守るためにソーシャルアクションを起こし、柳田国男の心を動かした人でもあります。

彼は「粘菌」から「森羅万象」をみたということです。「粘菌」はあるときはアメーバ状で捕食することもあれば、よく知るキノコの形にもなれば、あるときは胞子になって子孫を残し、脳を持たないのにも関わらず飢餓状態になれば集団をつくります。

最近北海道では新幹線や高速道路の工事が着々と進められております。そこで目にするのは今まで住んでいた場所から追い出され、やせ細ったキツネやタヌキを見かけるようになりました。

かつて南方熊楠が「自然の破壊は人間社会の崩壊を招く」といったように、今の人間社会にある多くの課題は実は自然の崩壊が招いたものという見方もすることができるかもしれません。

ユヴァル・ノア・ハラリも「我々はホモ・サピエンスです。化石燃料依存症者です。」と化石燃料依存を危惧していることもあります。

ファストフードを好むバクテリアが実は人間の行動に大きく影響を与えているという情報もあります。

そういった人や情報から学ぶと、もしかしたら日本は「自然と共生する社会」を思い起こすことも一つのキーワードなのかもしれません。

なので前文にもあるように「われわれは、社会システムおよび自然的・地理的環境と人々の生活が相互に関連していることに着目する。」という点は個人的に重要だと感じております。

このように、もしかしたらグローバル定義や倫理綱領をよく見てみると、それぞれ何か新しい気づきが生まれ、知見や見聞、価値観を広げるきっかけになるかもしれません。

是非新しい倫理綱領を皆さんの周りにいる人たちにも共有してみてはいかがでしょうか。

おすすめの記事
人気記事一覧(全期間)