提供者:drassi

本日はマズローについて少し触れてみたいと思います。

マズローと言えば欲求階層説で有名ですよね。

しかし実はあのピラミッドはマズローが示したものではないそうで、誰かがマズローの欲求階層説をピラミッドで示したという話があります。

なのでマズローを知る方は、欲求階層説=マズローになっていることを危惧しているようです。

マズローは欲求階層説の他にどんな考えを示したのか簡単に触れてみたいと思います。

それでは確認していきましょう。

アブラハム・マズローについて

マズローってどんな人?

マズローは「人間性心理学」の創始者です。

人間性心理学は来談者中心療法を唱えた「カール・ロジャーズ」ポジティブ心理学で今話題の「セリグマン」が専門としております。

マズローは1908年にアメリカのニューヨーク州に生まれます。

その後、ウィスコンシン大学で学び、コロンビア大学で特別研究員職として研究者の道を進みます。

その後ブルックリン大学、ブランダイス大学、アメリカ心理学会会長を務め、1970年に62歳の若さでその生涯を終えます。

当時心理学は「行動主義心理学」「フロイト心理学」の2つが主流でした。

最初は行動主義心理学を専門していましたが、やがてそれに疑問を抱きます。

そして心理学の世界で第3の道を切り開こうとしたのです。

マズローの著書

マズローは数々の著書を出しております。

1941年に「異常心理学原論」

1943年に「人間の動機づけに関する理論」

1954年に「人間性の心理学(動機と人格)」

1962年に「完全なる人間」

1964年に「創造的人間」

1965年に「自己実現の経営」

1966年に「可能性の心理学」

と数々の著書を生み出しました。

そのうち欲求階層説は1954年の「人間性の心理学」で提唱されました。

しかしその後も「可能性の心理学」まで研究者としての道を進んだのです。

欲求階層説

マズローの欲求階層説について簡単にまとめていきます。

まず根底には3つの点がありました。

①人間には文化にかかわらず相対的に共通する基本的欲求をもつ。

②基本的欲求は階層的に順序づけられている。

③低次の欲求が満足されると、より高次の欲求が現れる。

行動主義心理学の分野を専攻していたマズローは、動物ではなく人間の動機づけに目を向けたのだと感じます。

以下5段階説

①生理的欲求(85%)

・動機づけの出発点

・ホメオスタンス(恒常性):人間の身体を正常に保つための食欲や睡眠欲など

・ホメオスタンス的ではないもの:性的願望、母性行動など

②安全の欲求(70%)

・安全、安定、依存、保護、恐怖、不安、混乱からの自由、構造や秩序、自由、制限、法など

・幼児の欲求をみると理解しやすい

・社会不安が増大すると先行きの不安が高まる → 安全を求める(職業等)

③所属と愛の欲求(50%)

・共同体の一員として認められたい

・人間は孤独や追放された状態などで生き続けることは困難

・周囲から愛情深く、温かく迎えられたい

④承認の欲求(40%)

・自己に対する評価

・他者からの評価

承認の欲求が満たされると自分は世の中に役立つ存在だという強い感情が湧いてくるとのことです。

⑤自己実現の欲求(10%)

・自分がなり得るものになる

・自分自身の本性に忠実

・潜在的にもっているものを実現しようとする

※注意事項

・前提条件がある(自由が妨害されない社会や、戦争がない社会において)

・下位の欲求が100%満たされて次の欲求に進むというわけではない(独自の%)

・この階層説は決して不動のものではないということ

以上がマズローの欲求階層説となります。

自己実現的人間に共通する15要因

マズローは自己実現的人間の特徴についても研究されました。

そして15の要因というものを示しております。

①現実をより有効に知覚し、それとより快適な関係を保つこと

→ 人間を正しく判断する能力に非常に長けている

②受容(自己・他者・自然)

→ あるがままに受け入れる(自己・他者)

③自発性・単純さ・自然さ

→ 行動もさることながら、内面生活や思想、衝動においていっそう自発的

④課題中心的

→ 自分自身以外の問題に強い関心を示す(人生における使命や達成すべき任務)

⑤超越性(プライバシーの欲求)

→ 独りでもあまり傷つかず不安にもならず、争いごとにも超然としている

⑥自律性(文化と環境からの独立、意思、能動的人間)

→ 自分自身がもつ可能性と潜在能力を頼りにする

⑦認識が絶えず新鮮であること

→ 他の人には新鮮味がないことも、驚きや恍惚感さえもって認識する

⑧神秘的経験(至高体験)

→ 恍惚や至福、最高の喜びの体験

⑨共同体感覚

→ 人が全体の一部であり、全体とともに生きていることを実感

⑩対人関係

→ 心の広い深い対人関係を取り結ぶ(その数は決して多くなく少数の人々と特別に深い結びつき)

⑪民主的性格構造

→ 相手を評価する基準は性格や能力、才能であり、領域に関係なく誰とでも親しくできる

⑫手段と目的の区別、善悪の区別

→ 高い倫理観、はっきりとした道徳規準をもつ

⑬哲学的で悪意のないユーモアのセンス

→ 通常の人と異なる心地よいユーモア

⑭創造性

→ 特殊な創造性、独創性、発明の才(天津爛漫な子どもがもつものと同類)

⑮文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越

→ 内面的な超越を保持している(文化を反逆するというわけではなく、超越している)

以上が自己実現的人間の特徴とマズローは捉えました。

B価値について(BはBeing)

マズローは自己実現的人間が重きを置く価値B価値と表現しました。

ちなみにB価値と対になるのがD価値です。今回はB価値のみ紹介します。

①全体性 

→ 統一、統合性、単一性への傾向、相互連関性、単純性、体制、構造、二分法超越、整然

②完全性

→ 必然性、的確性、適切性、不可避性、適合性、正義、完備、正当性

③完成

→ 終末、終局、応報、終了、成就、完結、天運、運命

④正義

→ 公正、秩序整然、合法性、正当性

⑤躍動

→ 過程、不死、自発性、自己調節、完全機能

⑥富裕

→ 分化、複雑性、錯雑

⑦単純

→ 正直、赤裸々、真髄、抽象、本質、骨格構造

⑧美

→ 正確、形態、躍動、単調、富裕、全体性、完全性、完成、独自性、正直

⑨善

→ 正確、望ましさ、正当性、正義、徳行、正直

⑩独自性

→ 特異性、個性、不可代理性、新奇

⑪無礙

→ 安楽、緊張、努力、困難の欠如、優雅、完全、美的機能

⑫遊興

→ たわむれ、歓喜、楽しみ、快活、ユーモア、華麗、自在無礙

⑬真実、正直、現実

→ 赤裸々、単純、富裕、正当性、美、純粋、清純で生一本、完備、真髄

⑭自己充足

→ 自立性、独立、自己決定、環境超越、分離、自己律法による生活

これらを自己実現的人間が生涯をかけて追及する14種類のB価値と挙げました。

B認識について(至高体験時における認識)

至高経験の際には、人は生命全体を認識しているのではないかと仮説を立てました。

人は美の本質や究極の完全性などを認識するということで、B認識としました。

そしてそれらを19項目にまとめております。

①経験や対象は完全な一体として見られやすい

②認識の対象にすっかり傾倒されている

③人間から切り離されたものを認知できる

④B認識が繰り返されると、理解をより一層豊かにする

⑤自我超越的、自己忘却的で、無我であり得る

⑥自己合法性の瞬間として感じられ、それ自体に価値を見出せる

⑦時空を超越する

⑧善であり、望ましく、まさにあるべき姿である

⑨絶対性が強く、それほど相対的ではない

⑩能動的というよりもはるかに受動的、受容的である

⑪経験を前へに、驚異、畏敬、謙遜、敬服という特殊な趣をもつ

⑫世界全体が一つの統一体に見えたり、一小部分が世界全体に見えたりする

⑬具体性と抽象性を同時に見出せる

⑭二分法、両極性、葛藤を超越する

⑮世間や人間を愛すべきものとして受け容れる点で神性をもつ

⑯個別的で非分類的で現実を直視する

⑰おそれや不安、防衛、抑制などの中断がある

⑱内面と外面に類似や同形を知覚する

⑲あらゆる水準において人の真の統合に達する

以上これらが19項目となります。

ユーサイキア(マズローの造語)

ユーサイキアは「よい、心・魂、場所・祭典」と語幹を組み合わせてつくった造語です。

「よい心の状態」ということです。

ユーサイキアのある人をユーサイキアンと呼びます。

それは「千人の自己実現者が外部からいっさい干渉を受けない島に暮らした場合に生まれる文化」と定義されました。

千人の自己実現者と想像すると凄まじい島になりますね。

またマズローはユーサイキアの考えを起業の経営管理原則にも適用しました。

ドラッカーの進歩的経営管理論は心理学の世界においても有効で、また逆もしかりと捉えたようです。

Z理論について

マクレガーのXY理論というものがあります。

これはマズローの欲求階層説を解説しているとのことで下敷きにした理論とのことです。

Yは性善説、Xは性悪説となっております。

しかしマズローは「X理論が支持される根拠はY理論以上に見当たらない」と主張しています。

さらに自己実現者の特徴はもはやYにも当てはまらず超越しているということで、Z理論の必要性を説いたのです。

超越的な彼らにとっての特徴として

・至高体験や高原経験が人生の最も貴重な一面となっている

・自然にB価値に関する言葉が出てくる

・世俗的なもののなかにも神聖さを認める

・意識的に高次欲求に動機づけられる

・美に対して敏感に反応する

・世界を全体でみており、人類はひとつであり、宇宙もひとつだと考えている

・シナジーへの傾向を自然に備えている

・改革者や新しい事柄の発見者になることが多い

・知識の増加と神秘性や畏怖の増加が正の相関として見られる

このようにマズローは欲求階層説のみならず、自己実現者について生涯研究をされたのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

マズローと言えば欲求階層説となりますが、実はそれだけではないのです。

自己実現者として超越している人は日本にもたくさんいます。

私の知り合いやフェイスブックをみててもたくさんみかけます。

今回マズローについて知識を少し深めた中で、その理由が一つわかったような気がします。

以上マズローについての記事でした。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考文献 ~ マズローを読む=中野 明 アルテ 星野社

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