9月15日は何の日?

そう「老人の日」です。

また9月15日~21日は「老人週間」を設けることが法律でも規定されております。

また法律にも「趣旨にふさわしい行事が実施されるよう奨励しなければならない」と書かれております。

今年度は例年通りというわけにもいきそうにありません。

その中でも新たな取り組み等、きっと出てくると思われます。

さて、本日は老人福祉の理念と沿革について簡単に触れてみたいと思います。

それではよろしくお願いします。

老人福祉の理念と沿革

老人福祉の歴史

老人福祉という分野が独自になったのは1963年の「老人福祉法」が制定されてからになります。

それまで老人福祉は「貧困者対策」の一部として行われていました。

1874年制定の恤救規則では「無告の窮民」で、70歳以上の重病又は極貧の人を対象に米代を支給することとされていました。

その後1929年制定の救護法では、65歳以上の老衰者が貧困のため生活できないとき、生活扶助、医療扶助、助産扶助、生業扶助を行うこととされていました。またこの時に今の養護老人ホームの前身である「養老院」ができます。

その後生活保護法では養老院が「養老施設」に変わり、老人福祉法制定を機に「養護老人ホーム」となり生活保護制度から切り離されます。

日本はこれまでサザエさんに代表されるよう伝統的な同居扶養が主でありました。

そのため①老人の数が少なかったこと、②大多数の老人が同居の家族の世話や介護を受けて生活することが可能とされていたこと、このことから老人福祉サービスは貧困者を対象として展開されてきたようです。

しかし1960年代頃から高度経済成長期に突入します。

そこで産業化、都市化の結果として「核家族化」の傾向が現れました。

そして老人人口の将来的な増加、世代間の考え方の違いから、老後の生活に不安を覚える人たちが増えてきたそうで、そのような社会的背景からも老人福祉法が制定されたようです。

ちなみに当時老人福祉の独立した法律をもっているのは主要国でアメリカと日本だけだったそうです。

老人福祉法の制定

老人福祉法では老人福祉サービスが大幅に拡大されました。

健康診査や家庭奉仕員派遣(今でいうホームヘルプサービス)、特別養護老人ホーム(経済状況を問わず受け入れをする)、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホームなど、老人福祉は生活保護から独立した独自の領域として展開していくのです。

その後日本は世界で例をみないほど急速に高齢化が進みます。

高齢化率をみると

1970年には7%

1994年には14%

2007年には21%

現在約28%

このように日本は急速に高齢化が進みました。

また核家族化の問題により家族の介護能力の低下など、「高齢者の介護対策」が大きな課題となり、新たな高齢者介護システムの創設が検討され、介護保険へと進んでいったのです。

当時の現状と課題

まだ今のようにサービスが充実していない時代ではどんな現状と課題があったのでしょうか?

私は現在「社会福祉教室 健康で文化的な生活の原点を探る 仲村優一・三浦文夫・阿部志郎編 有斐閣選書」を拝読しております。

その中で当時の目線を少しだけ追ってみたいと思います。

①生きがい対策として

・社会奉仕活動などの社会参加を積極的に進める

・健康の維持、増進を図る事業をさらに充実させる

・老人福祉センター、老人いこいの家の大幅な増設

・老人のための教育活動が盛んになること

②居宅福祉対策として

・家庭奉仕員制度の早急な改善

→ 人数が少ないため厳しい所得制限があり、相当困難にならないと派遣されないなど制限的である

・デイケア、短期入所が全くの未発達である

・近い将来、老人のための給食サービスが重要な事業となることが予測される

③施設福祉対策として

・施設全体の量的な不足、特に特別養護老人ホームの不足は深刻な課題

・養護老人ホームは養老施設が前身のため1室4~6人部屋で、建物や設備のよくないところが多く改善が必要である

④保険医療対策として

・日本の老人健康診査の制度は全老人を対象とし、高度な精密検査もあって高く評価されている

・老人医療費支給制度については課題で、70歳以上を早急に65歳以上に下げることが必要である。※70歳であることは経費を少なくする以外に根拠をもっていない

・老人の病気は長期化、介護に人手を要すため付添をつける必要があるが現行制度では認められていない

・訪問看護、訪問健康管理が日本ではまだ手をつけられていない状況

→ 病院への入院や施設への入所時期を遅らせることができるという点でも非常に重要である

当時の現状をみるとこのような課題があったとのことです。

そして平成になり「ゴールドプラン」という形で、大幅な拡充を展開していきました。

そして21世紀の幕が開かれたのです

またこれらの課題は今の時代からみると大きく改善されていることが実感されます。

時代は前に進んでいるのですね。

老人福祉の理念

次に老人福祉の理念について確認していきたいと思います。

老人福祉法第2条には

「老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする」

とあります。

また第3条には

「老人は、老年に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする」

「老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする」

とあります。

このように「老年期を発展的・積極的に捉えること」「社会的統合・社会参加」という視点が重要になっております。

もし自分が老人だったらどんな地域や社会で生きたいですか?

このような非日常的なテーマについて、子どもや、若者、大人で考えてみると何か見えるのではないかと感じます。

おわりに

内閣のHPをみると

「老人の日・老人週間」キャンペーンということでページがありました。

標語も掲げられ

「みんなで築こう 安心と活力ある健康長寿社会」が令和2年の標語となっているようです。

「老人の日・老人週間」キャンペーンhttps://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/elderly.html

またここには老人の日の経緯についてかかれておりました。

老人の日・老人週間の経緯

昭和22年(1947年)に兵庫県多可郡野間谷村で行われた敬老行事がきっかけとなり、昭和25年(1950年)、9月15日を「としよりの日」としようとする敬老・福祉の県民運動が開始されました。

昭和26年(1951年)、中央社会福祉協議会(現:全社協)が全国運動を提唱。9月15日から21日までの1週間を運動週間として、「老人を敬い慰め、励ますとともに、老人福祉に対する国民的理解を促進し、老人自身もまたその立場を自覚し、新しい社会建設に参加する」ことをうたって様々な活動が推進されました。

「としよりの日」は後に「老人の日」を経て昭和41年(1966年)に国民の祝日「敬老の日」へと発展しました。そして、平成13年(2001年)の老人福祉法の改正により、9月15日が「老人の日」、同月21日までの1週間が「老人週間」と定められました。

なお、「国民の祝日に関する法律」の改正により、平成15年(2003年)から「敬老の日」が9月の第3月曜日となりました。

兵庫県多可郡野間谷村で行われた敬老行事が最初とのことです。

長い間社会に貢献してきたお年寄りに敬意を表すとともに、知識や人生経験を伝授してもらう場を設けること」を目的とし、老人軽視の時代風潮や、戦争に子どもを出して疲れ果てた親世代を報いたいという想いもあったようです。

村長の門脇政夫さんの想いは今もなお大切に受け継がれております。

多可町HPhttps://www.town.taka.lg.jp/

以上「老人福祉の理念を確認する」でした。

お年寄りを介護の対象としてみるのではなく、老人福祉の視点から捉えることが大切だと感じ、このような記事を書いてみました。

先日大切な利用者が通所の事業所を卒業して、施設へと移りました。

その際、歌のプレゼントをしてくれました。

「いいさそれでも、生きてさえいれば、いつかやさしさに巡り合える~」

最後にリンクを貼っておきます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

・福祉小六法 中央法規 老人福祉法P424

・社会福祉教室 健康で文化的な生活の原点を探る 仲村優一・三浦文夫・阿部志郎編 有斐閣選書 44老人福祉の沿革と理念P161~169

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